双極性障害II型と闘う

うつ病がいつまでも治らないと思っていたら、双極性障害II型でした。病気との闘いの日々を綴ります。

本田選手の自殺についての発言を読み、「死にたい」と常に隣合わせの私がみんなに伝えたいと思った事

本田選手の自殺についての発言に対する、ブログのエントリーを読みました。私はこの方の考え方に心から賛同します。

hirokimochizuki.hatenablog.com

 

希死念慮に何度も取り憑かれている当事者として、自殺については私も思う事が色々あります。

今回は、自殺を引き起こす「死にたい気持ち」について、精神的な病の患者として皆さんに知って欲しい事をまとめたいと思います。

自殺してしまう人の中にはうつ状態の人が多々いる

自殺する人の中には、うつ病双極性障害統合失調症適応障害などの精神的な病の人が多々含まれます。

私自身は双極性障害Ⅱ型という病気なので、これまで「うつ状態」を何度となく繰り返し、希死念慮も数え切れないほど経験してきました。その患者の立場から、病気による「うつ状態」の人が「自殺」に至ってしまうのはなぜなのかを発信しなければならない、と本田選手のツイートを見て思いました。自殺についての発言に関しては人命に直結しますので、広く強く訴えたいです。

うつ状態とは別の要因から自殺に至ってしまう場合については、詳しくないので控えます)

「鼓舞や説得」は、自殺の抑制に繋がるのか

物議をかもしている本田選手のツイート。

間違った考え方ではないと思います、これがもし「死にたいなんて全然思ってない人に向けた発言であれば」。でもこれは残念ながら、自殺率のニュースに対してのコメントなんですよね。

こういった鼓舞や説得は、「うつ病」や双極性障害などからくる「うつ状態」の為に「死にたいと思う」人には全く響かないどころか、非常に危険です。その事が本田選手だけではなく、多くの「病気じゃない人」には全く理解できないんだな、と思う事がよくあります。全く理解できないんだな、という思いは孤独、失望に繋がり、事態を深刻化させます。

うつ状態」は「病魔」に乗っ取られた状態

うつ病」「うつ状態」という言葉は広まっているものの、それが一体どういう状態なのかは中々伝わりにくいようです。

うつ状態」というのは「普通の落ち込み」とは全く違います。うつが悪化すればするほど、ネガティブな気分と思考「にしかなれません」。それはそういう病気であり、普段のその人とは違う「病魔」に乗っ取られた状態です。「本人」が考え方や気分を切り替えたい、そう思っても「できない」のです。

 希死念慮に囚われた状態とは

私が「死にたい気持ち(希死念慮)」に囚われた時にどんな状態なのかをお話します。「死にたい気持ち」には、理屈や合理性はありません。感情の一種です。死にたい気持ちだから死にたいんです。

死にたい辛い理由がある事もあるけれど、無い事だってあります。いずれにしても、未来に希望はなく、自分は居ない方がいい人間で、この苦しみは永遠に続く「と思わされる」のです。

「私」はそういう時、残った自分の理性で何とか耐えるしかありません。でも、理性はすでに病魔に侵されてぼんやりした状態なので、あれこれ考えようとしても余計におかしな思考にはまります。なのでひたすら「いつかこの苦しみは去る。」と念じているだけです。

実際、本当に生命が危険な状態は長く続く訳ではありません。聞くところによると、自殺の衝動は殆どの場合24時間以内に収まり、それを乗り越えられれば長く生きられる人も多いそうです。(ただし、自殺衝動は繰り返す事も少なくないですし、行動に起こす程ではない程度の死にたい気持ちが続く場合もあります)

少し落ち着いて「自分」を取り戻してくれば「自分はちょっと変な考え方をしてたかも」と少しずつですが分かってきます。しかし、深いうつ状態の最中にはわかりません。

だから、「死にたい気持ち」の人に「説得、説教する事」は無意味なんです。非合理でネガティブな死にたい理由を言っていたとしても、「病魔」が言わせている事です。そこにどれだけ反論しても、「本人」が孤独感を深めるだけです。

死にたい気持ちの人に対してして欲しい事

「死にたい気持ち」に取り憑かれてしまっている人には、「私はあなたに死んで欲しくない。」と伝えて、危機のピークが去るまで、1人にさせない事です。「あなたは◯◯だから死ぬべきではない」と言われても、「辛さを全くわかってくれない」と感じてしまいます。(実際、本当に死ぬ程辛い状態なんです!)「私は死んで欲しくない、悲しい」と言ってもらえれば、支えてくれていると感じて少し希望が繋がります。

正直、私自身何回も乗り越えてきているとはいえ、「いつか『死にたい気持ち』に自分を殺されるかもしれない」と思っています。

そうならない為に、調子がいい時に身近な人に「こういう時はこうして欲しい」と伝えたりとか、「いざとなったら119しよう」とかシミュレーションをしています。自殺率の高い病気ですが、絶対に負けられません。

まとめ

うつ状態は「病魔」に乗っ取られた状態です。希死念慮や自殺願望に取り憑かれている時は、理屈は受け付けません。説教、説得はしないで、あなたに生きて欲しいという気持ちだけ伝えて欲しいと思います。