双極性障害II型と闘う

うつ病がいつまでも治らないと思っていたら、双極性障害II型でした。病気との闘いの日々を綴ります。

抗うつ剤で躁状態になった時の話ー心は脳に支配されている

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私が心療内科に通い始めてまだ1年経っておらず、診断が「適応障害によるうつ状態」だった頃、劇的な躁転躁状態になる事)を経験したお話しです。

抗うつ剤でうつが魔法のように消えた

うつ状態心療内科に通い始めてから、まず漢方やSSRIという系統の抗うつ剤が処方されました。これらは比較的副作用が少ない薬ですが、私のうつ状態には効果があまり見られませんでした。次に、アモキサンというお薬が処方されました。アモキサンは三環系抗うつ薬と言われる系統の抗うつ剤の一種で、気分を持ち上げる力が強いと言われています。

アモキサンを飲み始めて3日程経った時です。私は用事があり自転車を漕いでいました。それまでの数ヶ月間同様、鬱々とした気分でした。とにかく重く沈んだ気分で、頭もぼーっとして、思考が止まっているような状態でした。

しばらく自転車を漕いでいたその時突如、気分が軽くなり始めました。あれ?と思っていると、靄がかかっていたような頭の中も段々冴えてきました。

私はその後15分ほど自転車を漕いでいたのですが、その間にますます気分は改善し、目的地につく頃にはすっかりうつ状態なんて治っていました。

私はただ、1人でぼーっと自転車を漕いでいただけです。何も良い出来事なんて起こっていません。でも今まで何をしても、好きな事をしても、面白い話を聞いても変わらなかった重い気分が、すっかり晴れわたってしまったのです。

薬ってすごい。うつが治った。そう思いました。

普通を通り越して躁状態

が、話しはここで終わりませんでした。普通の気分を通り越してハイになってしまったのです。

それまで味のしなかったご飯が感動的に美味しく沢山食べ、話すのも楽しくてペラペラ喋り続け、やりたい事が山程出てきて寸暇を惜しむようになりました。

夜も眠れなくなりましたが、全く眠くもないしどんなに活動しても全然疲れないのです。あれ程、常に疲労感に襲われていたというのに。

寝てても目が覚めてしまい、やりたい事がどんどん思い浮かび、いてもたってもいられずに深夜にあれこれやり始めました。

楽しいけど、ちょっと私おかしい。

どんなに動いても疲れないって、大丈夫?

こんなに喋りまくるの、私らしくないよね?

あまりの激変に、流石に不安になってまた病院に行きました。そして、アモキサンは量を減らして飲み続ける事になりました。

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本当は適応障害うつ病ではなく双極性障害だったのだけれど

今になって考えると、ここで躁転した事は適応障害の裏に双極性障害が隠れていた事を示していたのでしょう。

抗うつ剤での躁転(薬物性躁転)は双極性障害の素因を持った人に現れる」と言われています。

三環系抗うつ薬は、双極性障害には厳禁です。本当は、すぐにアモキサンを辞めた方が良かったはず。

でも、その出来事があった10年前には、「抗うつ剤での躁転双極性障害の素因を持った人に現れる」という事が医者にもあまり知られていなかったそうです。だからこの時に私の診断が双極性障害に変わる事はなく、その後何年も抗うつ剤を飲み続けました。残念ですが…

人の心は脳に支配されている

ただ、この経験を通して、人の気分なんて脳内物質で決まっちゃうんだなあ、という事を実感しました。薬のようなただの化学物質で、気分が激変してしまうのですから。「うつ状態の時は脳内物質のバランスが崩れている」とはよく言われますが、成る程その通り。バランスが崩れた状態でいくら心を明るくする努力をしても上手くいかない訳です。気分転換ができない、リラクゼーションもできない、それは脳がそうなってしまっているのです。

それに、疲れたとか疲れてないっていうのも、「脳が疲れたと思うから疲れたと感じる」のであって、実際に身体が疲れてるかどうかはまた別問題なんですね。

心と身体は別物だと思っていたけれど、心は脳に支配されているのだ。そう思う出来事でした。